NPO法人伝承伝説文化交流会 初の大規模イベント「小泉八雲と怪談を語る怪!」開催レポート
- imani47
- 1月24日
- 読了時間: 4分

2025年11月8日(土)、松江市殿町の島根県民会館は、開演前から独特の熱気に包まれていた。
来場者は島根県内にとどまらず、東京・大阪をはじめとする遠征組も多く、全国的な怪談ファンの注目を集めていたことがうかがえる。
本イベント「小泉八雲と怪談を語る怪!」は、NPO法人伝承伝説文化交流会が主催した初の大規模イベントである。
出演者は、怪談業界で注目されている
ぁみ、田中俊行、田辺青蛙、松原タニシ、吉田悠軌の5名。(敬称略)
掲げられたキャッチコピーは
「八雲にとどけ、俺たちの怪談!」。
その言葉通り、本企画は「小泉八雲」の怪談世界を出発点としながら、現代の実話怪談を同じ地平に置いて語り合うことを目的としていた。
第一部:八雲の怪談を「読む」「知る」時間
第一部の前半は、田辺青蛙氏・松原タニシ氏・吉田悠軌氏を中心に、小泉八雲の怪談の紹介と分析をテーマにしたトークから始まった。
八雲の代表的な怪談作品や、松江と関わりの深いエピソードが取り上げられ、
なぜ八雲の怪談は「怖さ」だけで終わらないのか
どこまでが聞き書きで、どこからが文学なのか
土地の記憶と怪談がどう結びついているのか
といった点が、作家・研究者・語り手それぞれの視点から掘り下げられていった。
特に、文学的分析と、怪談実践者としての感覚が交差する場面では、単なる解説にとどまらず、「八雲が怪談をどう“扱ったか”を、現代の怪談師がどう受け取っているか」が浮かび上がる構成となっていた。
続くパートでは、ぁみ氏による実話怪談が語られ、会場の空気は一気に“理屈”から“体感”へと移行する。
この流れによって、八雲の怪談が決して過去の文献ではなく、「いま語られる怪談」と連続していることが、自然な形で示されていた。
第二部:口開けはぁみ氏──現代怪談の本番
第二部の口開け(トップバッター)を務めたのは、再びぁみ氏だった。
淡々とした語り口で披露される実話怪談は、会場の緊張を一気に引き締め、ここからが本番であることを強く印象づけた。
その後は、出演者それぞれが、近年集めた実話怪談を次々と披露。
田中俊行氏による呪物にまつわる話は、語りと実物の存在感が相まって、客席に独特の緊張感を生み出した。
吉田悠軌氏は、八雲の怪談を現代怪談の文脈と接続しながら分析し、知的好奇心の強いファンの視線を集めていた。
松原タニシ氏からは、事故物件の体験談に加え、南米のミイラにまつわる話など、通常の怪談イベントではあまり聞かれない題材も披露された。
怖いのに、笑う──会場を支配した不思議な熱量
参加者の感想として特に多く見られたのが、
「笑いすぎて涙が出た」という声だった。
怪談師同士の軽妙な掛け合いや、松江ならではの地元ネタが挟まれ、会場は何度も爆笑に包まれた。
「怪談なのに、こんなに笑っていいのか?」という空気が生まれつつも、その油断が次の怪談の不気味さをより際立たせる結果となり、独特の緊張と緩和が繰り返されていた。
終盤には、出演者全員による即興リレー怪談が披露され、
テーマは「八雲が聞いたら、どう思うかな?」。
古典と現代、分析と即興が混ざり合うこの一幕は、本イベントを象徴する場面となった。
終演後──怪談が続いていく時間
公演は21時過ぎに終了したが、怪談の余韻はそこで終わらなかった。
ロビーでは自然発生的に出演者と観客の交流が始まり、サインや写真撮影が行われるなど、打ち上げのような和やかな空気が広がっていた。
参加者のSNSには
「田中さんとチャーミー(?)に会えて嬉しかった」
といった投稿も見られ、来場者にとって忘れがたい一夜となったことがうかがえる。
朝ドラ『ばけばけ』の影響もあり、再び注目を集める小泉八雲。
その流れの中で開催された本イベントは、八雲を“研究対象”としてではなく、“いまも語り継がれる怪談文化の起点”として再提示した試みだった。
松江という土地性、八雲の遺産、そして現代怪談。
それらが交差した「小泉八雲と怪談を語る怪!」は、まさに現代怪談の祭典と呼ぶにふさわしい一夜だった。
また今後もNPO法人伝承伝説文化交流会の活動の場を注目していただきたい。


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